| 米軍の変革と台湾海峡 |
| 張 錫模/中山大学中山学術研究所副教授 2005年12月16日 |
来賓の皆様 今日は! 今日この講演会に参加して、皆様とご一緒に米軍の変革と再編成が、アジア太平洋地域の安全に及ぼす戦略的意義について検討することは、大変光栄に、また大変愉快に存じます。 米国ブッシュ大統領の昨(2004)年8月16日の声明に拠れば、米国政府は今後10年内に、世界各地に駐留する米軍の再配置を実施する。マクロ的歴史観から見れば、これは当代のグローバル地縁政治の一つの重大な事件である。 既定の政策に依拠して、米国政府は6〜7万人の作戦部隊及び、関連の7〜10万人のシビリアン及び雇用人員を調整する。これ等の人員の中で、3分の2は駐欧米軍、主に駐ドイツ米軍(目下の75,500名の駐留軍の中から3分の2以上を転出する計画)。次は駐韓米軍(目下の37,000名の駐留軍の中から10,500名の部隊を撤収する計画)。これ等の部隊はヨーロッパとアジアからアメリカ本土の駐屯地へ移転し、また一部の部隊は中央アジアと中東へ移転する。 現在、米軍の現役人員は合計1,425,687名(女性を含む)。今後10年間に調整を予定している駐留軍は約70,000名、陸軍の配置の調整を主としている。陸軍の目下の総兵力は約500,000名。言い換えれば、約10分の1の現役陸軍兵力の調整で、重要では無いと言えないが、大変重要であるとも言えない。 グローバル米軍配置の再編成には二つの論理がある。第一は、多数の米軍を海外からアメリカ本土に引き上げて、米国の軍事行動に対する盟友の影響力を極小化する。2003年のイラク戦争はアメリカに大きい教訓を与えた。70,000名の大軍が駐留する反戦のドイツ、海外空軍戦力の主要な部分もドイツに配置しているのは、アメリカの軍事行動にとっては一場の悪夢である。 第二の論理と軍事事務革命(Revolution in Military Affairs RAM)及び米軍の形態改革(Transformation)とは関係がある。冷戦が終わりソ連が崩壊したから、アメリカはグローバル軍事配置調整の企画に着手した。その基本思考は海外駐留米軍を削減するが、アメリカの海外における軍事保証は減少しない。この意味は、アメリカは比較的少数の兵力で、同様の作戦任務を遂行する方法を講じなければならない事である。即ち部隊の作戦効能と戦力を向上させる事である。 クリントン政権の初めの国防相アスピン(Les Aspin)から現在のブッシュ政権のラムスフェルド(Donald Rumsfeld)国防相まで、執政党は異なるが、軍事政策の基調は変わっていない。それは軍事科学技術の強化により所要の兵力を縮小し、焦点は速度と殺傷力、核心の目標は如何に迅速に部隊を移動させるか、如何に迅速に敵の武力を崩壊させるかである。 具体的に言えば、アメリカは航空力(Air Power)への依頼の拡大及び、陸軍装備の殺傷力の増大を追求し、部隊の規模を縮小して迅速に移動する。この思考の下で、航空と特殊作戦、軽歩兵はペンタゴンの最も好む種目になり、装甲車と大砲は問題になっている。 グローバルな米軍の再編成は、当然グローバルな地縁政治の景観を変える。ヨーロッパ方面に於いて、ドイツの地位は明らかに低下し、もうアメリカの信頼できる盟友とは見なされない。これに対し、米国海軍は一部の指揮機構を英国(駐留米軍約12,000人)からイタリア(駐留米軍約13,500人)に移転することを考慮している。その意義はイタリアとアメリカの関係は更に緊密になり、今後米国海軍のヨーロッパに於ける重点は、大西洋と言うよりは、地中海とその他の海であると、言ったほうが良さそうである。 相対的に、ルーマニアとブルガリアに米軍を配置するのは、米軍が東南ヨーロッパに存在するだけの意義ではなく、米軍が中東に前進して、旧ソ連(特に中央アジア)地域に対する機動力を強化し、且つアメリカと一部の中央アジア各国の既存関係を確認し強化をして、ロシアの旧ソ連諸国への影響力の低下を謀る。この様な状況において、最近半年以来、ロシアは強力に中央アジアへの影響力の確保と強化を謀ると共に、アメリカの中央アジアに於ける軍事的存在の低下乃至排除をしようと画策している。 米軍が中央アジアに存在することは、もう一つの重要な地縁政治の影響がある。これ等の米軍基地の補給線の安全を維持ために、コーカサスをアメリカの軍事通路にする。その意義は豊富なエネルギー埋蔵地のカスビ海盆地の両側に、米軍基地や親米国家が出現する。最も重要なのは、アメリカはアフガニスタン戦争が終わっても、この国に継続的に永久性の軍事基地を保有している。ちなみにアフガニスタンは中国の「裏門」である。 これは中国の「前門」−−東亜、西太平洋地域の変局と連携している。米軍兵力構造の調整は、以前のアジア太平洋地域の一部戦略性基地の始動で、米軍を新地域へ移動する。その中で、最大の数量の変化は韓国で、40,000人の米軍が3分の1撤去される。これは韓国人に何をしようと考えているのかと注意を与えているのである:若しも韓国人が米軍の撤去を望んでいたら、米軍は本当に撤去するかも知れない。 これに対して、アメリカと西太平洋の二大同盟国−−日本とオーストラリアの軍事関係は更に強化される。米豪作戦同盟の後、米日同盟は以前の法律同盟から逐次米英同盟式の作戦同盟に変えられる。日豪間は、東南アジア(フィリピン、タイ、シンガポール及び、談判中のベトナム)に於ける米軍の存在により、継続的に強固になり、アメリカとモンゴルの軍事協力は拡大の軌道上にある。 これ等の説明は、グローバルな米軍の再編成は、軍事綱領の特性を有するのみならず、アメリカの地縁政治の関心は、ヨーロッパからアジアへ移転していることをはっきりと示している。ワシントンの根本的な目標は、西太平洋地域に於いて敏捷な機動で、有事態勢に対応できる軍事体制を構築することであり、これに拠ってアメリカの戦略的優位を確保する。 この様な戦略動向は、台湾海峡の安全にどの様な影響を及ぼすのか? 先ず確認しなければならないのは、今後10年間乃至は更に長い期間、アメリカの軍事覇権は絶対的地位に立っていることである。この覇権地位の条件は、一部はアメリカ海軍艦艇が数量と科学技術において優越であり、一部はアメリカの宇宙偵察科学技術の優位である。今後10年間、米国海軍の海洋上の支配地位に挑戦する能力を有する国は無いが、一部の国は宇宙軍事科学技術に於いてアメリカにチャレンジするであろう。 更に具体的に言えば、今後10年間、アメリカの軍事事務革命の次のステップは、超音速スクラムジェット機(Scramjet)の導入と実戦化と思う。過去20年間、アメリカは既に大量の資源をこの科学技術の研究開発に投入したから、今後10年間、この新しい科学技術は米軍の固定景観になる。その時になれば、アメリカの最先端戦闘機の飛行速度は音速の15倍に達し、シアトルから北京までは半時間足らずで到着する。 この様な新科学技術の導入は、アメリカの世界各地、東亜も含めてに、対するさらに迅速な反応をし、戦場で速やかに支配権を獲得する。また、この新科学技術の導入は関連する兵站の兵力投入の問題を解決する。これはアメリカが戦区に事前重要な軍事資産を配置しなくても、兵力を投入することが出来るからである。それでワシントンは一面で駐韓米軍を撤去し、その他の一面では西太平洋の第七艦隊とグアムの空軍基地の配置を強化している。 当然、これは従来の戦術と科学技術が取って代わられることではない。戦争後の戦区の政治的変遷に影響を及ぼし、その結果をアメリカに有利にする為に、アメリカは陸上部隊を必要とする。しかし、アメリカの陸上部隊が未だ戦区や戦場に到達しない時に、新科学技術がアメリカに迅速な第一撃或いは報復能力を付与する。 簡単に言えば、軍事事務革命とグローバルな米軍再配置の意義は、規模が比較的小さく、戦力が更に精強、対外介入の戦略目標が不変、且つ行動が更に自由な米軍を世界は見ることが出来る。 東亜各国について言えば、この意義はアメリカ駐留軍の調整は、有事の場合、アメリカが東亜、西太平洋の衝突地域−−台湾海峡を含む−−への軍事介入に影響を及ぼさないのみならず、米軍の介入は反って更に迅速且つ効率が高い。 然しながら、米軍の変革の意義は、同盟国のアメリカに対する重要性が相対的に低下、とくに軍事に於いて然り。軍事上アメリカにとって価値のある同盟国になるには、巨額な資源を投入して、本国の軍事事務革命を加速しなければならない。これは厳しい挑戦であり、台湾について言えば、問題は更に困難である。 巨額の財政赤字と国会のボイコットは、既に台湾軍隊のトランスフォーメーションの財政資源を制限した。厳しい外交孤立と米、日等国家の軍隊との共同企画と演習の機会の欠如は、台湾軍隊の変革を妨げ、実質戦力が急速に下降している。アメリカと日本が益々軍事事務革命を推進するのに伴って、変革についていけない台湾の軍隊は、益々米、日の軍事上の重荷になり、軍事上の資産にはならない。 この時、アメリカ海軍の強大無敵な地位とエア‧パワーの急速な発展は、台湾海峡でアメリカとの対抗を企図する国−−中国は、更に積極的に不対称の方法と手段を講ずる。とくに、宇宙科学技術、ミサイルと海上のゲリラ作戦である。 確かに、中国の全体的軍事力の発展は、高価な宇宙計画が引き起こす資源締め出し効果に制限されると共に、中国経済の困難性の制限も受ける。しかし、益々盛り上がる中国民族主義と軍国主義は、これ等の経済と社会的制限を否定して、継続的に中国の軍事拡張を推進し、北京当局はそのミサイル計画を拡大して、この地域における米軍の覇権にある程度の牽制を加える。また、米軍の制覇的存在は、中国を更に精密な非軍事策略で台湾に対応することを、思考し推進させる。これは目下形成中の和平併呑の策略を含む。 これにより、今後の台湾海峡の景観は二律背反である。一方において、米軍はグローバルな軍事配置を調整したが、アメリカが台湾海峡に軍事介入する能力と承諾を傷つけていない。実質上、駐日米軍と日本自衛隊に、台湾海峡乃至西太平洋地域の安全の維持に更に重い役割を付与して、中国に対して有力な抑止力を構成する。しかし他方において、台湾の軍隊は益々米、日の軍隊の変革に付いて行けず、米、日も益々台湾の軍隊は重荷であり資産ではないことを発見する。中国は台湾の和平併呑を謀り、推進するか、或いは僅かに極めて不対称な軍事手段を使用して、台湾の政治意志を屈服させて、併呑を受け入させるかである。 簡単に言えば、純粋な軍事力の競争に於いて、アメリカと日本は台湾の共同防衛に充分な能力を有している。然しながら、心理戦場に於いて、台湾はこの戦場で負けつつある。 将来を展望すれば、台湾海峡の安全のキー‧ポイントは心理戦で、純粋な物理力の対決ではない。この心理戦に勝つためには、台湾は須らく自立自強し、アメリカ、日本等の国は台湾に協力して孤立を突破することを慎重に考慮して、台湾の軍隊が自閉的に戦力が益々低下する苦境から脱出させるべきである。 以上浅見を申し上げました。先進諸賢の御指導を賜りますよう御願い致します。有難う御座いました。 翻訳 楊鴻儒
「米軍のトランスフォーメーションとアジア安保体制」国際講演会 |
台湾独立建国聯盟ウェブサイト /WUFI Web-site
World United Formosans for Independence
ご意見はwufidata@wufi.org.twあてにお送りください。
そのばあい〔言論広場〕に転載します。
お手紙を掲載されたくないばあいは、その旨を明記してください。
あなた様のご光臨とご支持に感謝します。