| 台湾こそ東アジアの平和のかなめ |
| 黄昭堂/台湾総統府国策顧問 2002年11月7日 日米台協力シンポジュ−ム 講演記録より |
黄昭堂先生 略歴 一九三二年台南県生れ。台湾大学経済系卒。 東京大学国際学修士。社会学(国際関係論)博士。 聖心女子大学国際政治史講師。東京大学東アジア政治史講師。昭和大学政治学教授。 台湾安保協会理事長。台湾独立建国聯盟本部主席 著書に『台湾民主国の研究』『台湾総督府』『台湾の法的地位』『大中華主義はアジアを幸福にしない』『台湾爆発力の秘密』『黄昭堂独立文集』等々 ただいまご紹介にあずかりました黄でございます。わたしの名前は極めてけったいでございまして、日本ではコウで通じるわけです。ところがコウで通じない場合もあります。わたしが最初に東京に来ましたとき寺沢一先生の国際法の講義を受けたのだけれども、「オウ君、オウ君」と呼ぶのす。わたしは、「先生、違いますよ。コウです」と言ったら、寺沢先生は「これは黄色人種のオウだ」「いやこれは黄海のコウである」ということで若干もめました。 ところが私の住んでおりました台湾では中国人の統治下にありまして、北京語を強制されたわけです。だから私の名前はホワンということになります。ところが私の母親は教育を受けておりませんので「中国語なんて分からん。ホヮンって誰じゃ」ということでまずいです。 それから、私の本来の名前は五十音の最後「ン」を、とにかく筋をつけて「ン」と言うのです。難しい。これが諸外国の人には非常に発音しにくくて、そこで最近ではあっさりローマ字読みでニューヨークのNにジャーマニーのG、NGというふうに呼んだほうが正確であろうということになりましたが、やはりここのところはコウのほうがよいかと思います。台湾からやってまいりました。 本日はこの題でもって、米・日・台の友好を深めるという会合でございます。栗林会長、倉田理事長、ありがとうございました。こういう盛会にお招きいただいて非常に感激しております。この時間は確かに本当に眠い時間です。ただ後ほどパターソンさんの演説を皆さん期待しておられると思いますので、私は足早に走って早くパターソンさんにバトンをタッチしようかと思っております。 日米同盟の存在価値 私は東アジアの国際政治を見ますと、とにかく戦後の50数年間、日米同盟という存在がいかに大きかったということを改めて感じました。この日米同盟の存在のために東アジアの平和はこんなに保たれてきたわけです。 もちろん当初、この日米安保条約はアメリカが日本の軍国主義を警戒してふたをする。瓶のふたの役割がありました。また当時、仮想敵国としましてソ連があり、あるいは朝鮮戦争で手先になったばかりの北朝鮮がそこでうごめいている。それから新しいこの中国が共産主義ということで気味が悪いということで、一応日米安保は仮想敵国が三つあったというふうに想定されたわけです。 しかし時間の経過に伴って、日本とアメリカの関係は非常によくなりまして、もともとこの瓶のふたはちゃんと金属製のふただったけれども、最近のふたは何だかちり紙を丸めてふたをしているような状態になっております。ということは日米関係が極めてうまく行き、さらにアメリカが日本に対して防衛面でもっと自主的にして欲しい、あるいはアメリカの西太平洋防衛をもっと手伝ってほしいという意味が込められております。 当初の仮想敵国を見ますと、ソ連はすでに消え失せて、ロシアは日米安保にも大きな理解を示すようになった。北朝鮮はというと、これはソ連と中国の後押しがあって初めて成り立つ国でございまして、いわばこれはチンピラです。ただ我々が歌舞伎町で見ますと大ボスは出てこない。ですから我々が日々出会うのはチンピラです。ただチンピラはチンピラで、これはあまり気にしなくていいんだけれども、問題は日米安保の対象。これは現在どこに的が絞られているかというと、これはあくまで中国だろうというふうに私は見ております。 中国はそんなに怖い国かというと、これは人によって見方が違ってきます。怖いと思えば怖いのだけど、怖くないと思えば怖くない。ただ我々はこの東アジアの過去の歴史を見ますと、シナ大陸にあるこの帝国。これが帝国でなくなったのは、我々が知っている歴史の中ではおそらくせいぜい50年の歴史しかかないのです。とにかく弱くなった時期というと、せいぜい50年です。その長い歴史を見ますと、これは大きな帝国でないと気が済まないところです。 だから中華人民共和国がどういうふうな言い方をしようと、結局ねらっているのは超大国でありたい、スーパーパワーになりたい。これが中国のいわばマニフェスト・ディスティニー、与えられた運命です。中国は超大国でなければならない。その前に立ちはだかっているのは誰かというと、アメリカ帝国主義であり、日本帝国主義である。そういう認定のもとに中国は色々な国際戦略を展開しているのです。 もっとも、最近は米帝という言葉は聞かれなくなりました。昔、我々はよく言われたのです。「台湾は米帝の占領下に置かれている」と。ところが最近では中国から台湾は米帝の占領下に置かれているというふうに言われなくなりました。米帝の占領下に置かれたら経済がこんなによくなるのなら、我々も米帝に占領されてみたいというふうに中国人が思うかもしれない。 そういうふうなことだろうと思いますが、とにかく中国が超大国になるためにじゃまであるのは日本とアメリカです。その場合、アメリカは一番強力で一番怖い相手だけど、そんなに憎らしくないのです。強いから当り前です。ところがちっぽけな日本が何をほざいているのだということで、とにかく中国の前に立ちはだかる日本は、中国の人には我慢ができない。小さすぎるのです。 こういうことをいうとなんだか戦闘的に聞こえますが、そうではないのです。例えば韓国、朝鮮を見てごらんなさい。中国があんなに弱くなっても、ヘーコラヘーコラしている。なぜかというと向こうは大きい。それに比べると日本はこんなに小さい。文化的に我々朝鮮の子分である。それがこんなに大きな国になった。だから我慢ができない。くやしい。だから対日批判がずっと続くのです。これは人間の心理のしからしむるところです。強いところには必然性がある。ところが一見小さいところが強くなることに対しては、だいたい一般的には我慢できません。そういうところで我々は日本と中国の関係を見たほうがいいのではないかと思います。 中国経済への台・日のおかしな対応 ところで中国が超大国になるには二つの要件が必要です。軍事力と経済力です。ところが軍事力を強化することと経済力を強化することは、開発途上国からいう二律背反です。軍事を取るか、経済を取るか。ところが中国はこの二律背反であるところを、あたかも車の両輪のように利用してきました。 なぜ経済の発展を達成できて、また軍事的発展を達成できるか。これはもし軍事力のほうに力を回せば経済は停頓する。経済のほうに力を回せば軍事力は停頓する。ところが中国は外部からの資金をあてにしました。外部から金を入れたらいいわけだ。そういう金を入れるときに諸外国の投資を要求します。 一番私から見るとあほうなのは、我が国台湾でございます。中国が武力でもって台湾を攻めようとするときに、台湾のほうは盛んに中国に経済投資をしている。同じ日の台湾の新聞です。「中国には360発のミサイルが配備されている。これから年間50発ずつ増える」という大きな記事があるその新聞の隣のところで、我々は「中国との往来、三通を早く実現せねばならない。対中国経済は大事だ。そうでないと台湾の経済はつぶれる。」と。 そういうふうに、いわば外国から見ると、はたして中国と台湾はどういう関係なのじゃ?と理解できないでしょう。そういうことをやりながら今度は諸外国に対しては「台湾に支援してくれよ、道義的援助が欲しいです、お願いします」とやっている。皆さん諸外国から見れば、喧嘩しているこの夫婦か、恋人か、あるいはどういう関係か知らないけれど、いま盛んに怒鳴り合っているけれど、ある日寝室に入ったとたんに仲よくなる。それじゃあ、ばかを見るのは我々ではないか、と諸外国は相手にしないです。そういうことで台湾から盛んに中国に資金が入っております。 この政府統計によりますと、台湾の対中国投資は700億米ドルだといわれておりますが、これもどうも最近の台湾の経済統計はアングラマネーもやはり統計の中に入れるようになって、もっと正確な金額になって来つつあるのです。それでもなおかつ、例えば辜振甫さんあたりの推測では、台湾の対中国投資はおそらく1000億ドル。金額が大きすぎるから、私は普通50万円くらいしかやっていない1000億米ドルくらいの投資になっていると思う。ということで中国はよそからいろいろな外貨をどんどん入れる。 もう一つ、日本があります。開発銀行の資金を与え、ODAを盛んに与える。中国としては諸外国から金を入れて、これを帰さなくてすむような金が一番ありがたいのです。ところが実に私は分かりませんが、日本国というのは非常に面白い国でございまして、金を貸してもなかなか返金をあてにしていない国なのです。チャラになるのです。ありがたいです。いくらでも借りたいです。 この借りてきた金を中国がどう使うか。入ってきたお金の紙幣の上には用途は書かれておりません。お酒を飲もうと、栄養品を買おうと、薬を買おうと用途は書いてないです。だから中国が台湾からの資金を得て、あるいは日本から将来チャラになる可能性のあるODAをもらって、これを経済関係開発に回すかというと、必ずしもそうではないのです。用途が書かれていないのですから。 ですから中国の国防予算です。つい最近の米国のほうの計算によりますと、二〇〇米億ドルというけれども、実は六〇〇億、七〇〇億ドルになっているのではないか。とにかく中国の国防予算は公表された部分と実際の部分は分からない。ともあれ一応予算というものがあるけれども、国家予算で例えば本来ならば経済に回すところを軍事のほうに回す。これから外国人から入ってきた金を今度は経済のほうに回す。同じことです。 だから我々が対中国投資、あるいは日本が対中国援助を与えているということ。これは本来の目的は民生を良くして、中国の経済を良くして、将来難民が大量に流出することを阻止する。これはやはり日本にとって大事です。だからODAはやはり大事なのです。ところが現在のODAは、やはりそういう方向に使われている。軍事方面に使われている。そういうふうになると私の目から見ると悔しくてたまらんのだ。ところが皆さん日本国民はおおらかでございまして、そういうふうに援助を続けていらっしゃる。 しかも見ますと、中国はそんなに遅れていますか?つい最近の新聞では衛星打ち上げではないですよ。スペースシャトルの回収ではないですよ。宇宙ステーションをもう中国は造るのです。ところが日本は何ですか。H2Aの打ち上げを失敗した。またやりましょうか、やめようかといった状態。そういう軍事技術小国が宇宙船選を造ろうという国に経済援助なんておこがましいですよ。皆さん、違いますか?(拍手) それから日本は長いこと安保理常任理事国になりたがってきました。そこで毎年、非常任理事国の選挙で非常任理事国になって喜んでいる一面もあるんだけれども、あの旧敵国条項の入っている国連の中で年間五分の一くらいのお金を拠出してようやく非常任理事国。本来ならば常任理事国は当り前です。ところが誰が阻止しているのか。中国が阻止しているのではないですか。 どうして中国が阻止できるかというと、中国は世界の国々に援助を与えているのです。小さな国、人口一万二〇〇〇のナウル。つい最近、寝取られてしまったのだけれども、このナウルに経済援助を与える。そうすると小さくても大きくても一票は一票です。だから国連の場で日本を常任理事国にするかどうか、いかにして票をたくさん集めるのかが決め手です。ところが中国は世界に援助をばらまいている。だから最終的に中国の意見がとおるのです。ということは日本が中国に援助をし、その金額の役半分を現在も中国は世界各国にばらまいて日本の安保理常任理事国入りするのを阻止している。あほらしいとは思いませんか。 私が本日ここへ来たのは、これから日本と台湾の関係をますますよくしていこうという気持ちできたので、あまり変なことを言ってはやぶ蛇でございます。とにかく私から見ると、中国は非常に外交がうまいのです。これは東京の羅福全大使が言ったことですが、とにかく日米関係が非常にうまくいっているときに中国は日本に対しては低姿勢で来ます。日米関係がギクシャクしたときには、中国は日本に対する態度は非常に横着になってきます。 ということで私は羅大使のこのお言葉をこういうふうに思います。やはりアメリカは実は結構横柄な国なのです。もう言いたい放題、いちゃもんはつける。しかりやはり非常に頼りになる相手です。そこで私は、日本はあくまでも日米関係、日米条約を基調にして、それから次に世界戦略を考える。あるいは対外国際関係を考える。そういうような意味で日本は常にアメリカと仲のいい状態を保っていくべきだ。たまに何か言われてもしょうがないではないですか。 こっちは例えば防衛ニューガイドラインであっても、昔だったら水も出さなかった。今度はお茶も出すのです。軍艦にまでお茶を届けるようになった。それで例えば、いざ何か有事になったときに日本自衛隊がお茶とか、コーヒー、コーラはいかがですか。そこへおぶってアメリカの軍艦に届ける。届けられたら、はい、バイバイ。皆さん、がんばっておいで。いっぱい戦ってきてね。国のために命を捨ててね。はい、さようなら。我が自衛隊、ゴー・バック・ホーム。こういう状態ですから、とにかくアメリカに非常に「おんぶにだっこ」という一面がありますので、多少アメリカからいちゃもんをつけられても、ここのところは黙っておいたほうがいい。そういうふうに私は思うのです。 中国の狙いは台湾海峡とバシー海峡 ただ基本的に将来、中国が日本に戦争を仕掛けてくることはまずないです。大丈夫です。しかし問題は、中国が強くなったときにアジア情勢がどうなるかということです。今、中国が狙っているのは、明かに今、台湾の対岸のほうにミサイルを配置しているけれども、これは隙あらば台湾にミサイルを撃ち込もう。そういう戦略であることに間違いない。 中国が台湾を取ればどういう良いことが中国にとってあるかと申しますと、まず中国は海軍国になりたがっているのです。だからロシアから空母か何かを買ってくる。しかし海軍国になりたいけれど、では海軍国になったところで出口はどこじゃ。我々は地図を見ましょう。海軍国で出口はどこにありますか。ないです。だから奄美大島のところのあの狭い水路まで探査している。ところがそこまで行くと日本との関係になりますからやばいです。 ところがよく見ると、台湾とフィリピンとの間にバシー海峡という60数マイルの大きい海峡があるのです。これを手に入れたら、まず中国にとっては太平洋の出口です。銀座通りです。今ですと、例えばバシー海峡を渡るのに、フィリピンには戦える戦闘機が三機しかないからそれはかまわないとして、台湾の場合は海軍、空軍が強い。だからバシー海峡を通るのはやはり怖いです。ところがいったん台湾を取ってしまえばこの不沈空母台湾自体が中国のものである。だから取りたい。 台湾を取れば今度は南シナ海の島々についての紛争。俗にいうスプラットリー・アイランズ。あそこの紛争、南沙群島。今、台湾はたった一つの島しか保有してないけれども、その島は太平島と言いまして一番大きい島なのです。ある意味でもし中国が台湾を取れば、南シナ海の領土戦争は中国にとって大変な一歩を踏み出すことができます。あわよくばこの南沙群島すべてが皆中国の領土になります。 ということで今問題は南沙群島の、あれは陸地としてほとんど応用はきかないけれど、領海は一二海里でしょう。経済水域は一二海里でしょう。その他、また二〇〇海里の何とかがついてくる。だからとにかく南沙群島を取ると、南シナ海はそれこそ中国の内海化する。台湾海峡も内海化する。確かに真ん中に細々とした黄海は残されます。それでもとにかく中国が台湾海峡の両方を守っているときに台湾海峡を通るには、やはり恐る恐る。松の廊下を通るときのように、あまり堂々とはやれない。やはり恐る恐る歩く。そういうふうな状況下に置かれます。大変です。 本当に日本国民は平和に酔いしれているのです。あたかも戦争がなければ平和。平和だったらいい。この反応は実は我が台湾人と同じくらいです。我が台湾人もやはり戦争がないということは現状維持。現状維持ということは明日もまた大丈夫というふうな気持ちで、台湾人と日本人は同じ民族です。だいたい反応が同じ。最近のDNA、人の白血球の調査では、どうも日本人も台湾人と同じように南方系のほうから来たようで、だからそういうふうに平和、平和。ばかみたい。 ところが実は平和というのは、屈服なかりせば平和でないのです。誰か大親分のところにひれ伏すと、そこにおいて平和は保たれるのです。ひれ伏さない限り平和があると思うな。屈服があるだけです。屈服下の平和なのです。 私が考えてみますと、例えば台湾海峡。今、一般的に台湾海峡と言われると、とにかく東シナ海のあの台湾海峡を思い浮かべるのだけれども、実際には戦略的概念としましては、台湾海峡というのはバシー海峡を含んでいるのです。実際に商船が航海するにしてもいわゆる台湾海峡を通っている船数よりも、実際は南シナ海から右折してバシー海峡を通って、そこで左折して横浜、神戸に向かう。これが多いのです。この道を称して、日本では西南航路というのです。 これは日本にとって非常に重要なのです。どういうことかというと、横浜、神戸でしょう。西太平洋を通って琉球、沖縄。台湾の東海岸を通って、それから台湾の最南端にいって右折してバシー海峡に入ります。バシー海峡に入ったあとで左折して、今度は台湾海峡です。南シナ海です。マラッカ海峡です。それからインド洋。だから西南航路はどういうものかというと、日本の東南アジア貿易、日本の南アジア貿易、つまりインド、ビルマです。それから中東貿易、アフリカ貿易、ヨーロッパ貿易。これは皆、西南航路です。 西南航路は何が一番重要かというと石油を運んでくるのです。私のこのスーツ、これは一番上等な日本製です。ところがこれは石油で作ったものです。本当に上等なものはウールでありましょうが、とにかく石油は自動車と飛行機を飛ばすだけではないのです。やはりこういういろいろなものを作るのです。 だから私はよく言うのだけれど、日本は石油をがぶ飲みして生存している国である。その石油はどこから来るか。西南航路から来るのです。このバシー海峡を渡って日本に渡ってくるのです。このバシー海峡を渡って日本にやってくる石油の量。年間一億七五〇〇万トンです。一トンは一〇〇〇キログラムです。一億七五〇〇万トンの石油がバシー海峡を通るのです。そのバシー海峡を守っているのが台湾です。これが中国の一部になってごらん。 さて、次はどこかというと、あまり日本は攻め込まないと言ったけれど、もし尖閣列島が日本の領土だったら、保証します、尖閣列島も危ないでしょう。もし沖縄が日本の領土であれば沖縄も安寧は保てません。 沖縄を日本の領土として中国が認めたのは、まだ三二〜三三年の歴史しかないです。三〇年くらいしかないのです。それもあの当時、左翼の安保の人たちまでが沖縄の日本復帰が望ましいというふうに言っていたものだから、ああそうか、だったらそういうことであれば沖縄県民の意向を配慮して認めましょうということです。 とにかくどうぞ毎日ぐっすりお休みになって平和を念じてください。本当に危ないですよ。そういうわけで、私は皆さんにもっと台湾海峡の情勢に注目してほしい。 私はこういうふうに皆さんに何かきついことを申し上げておりますが、実は一番だらしないのは私たちです。台湾が一番だらしないのです。今アジアで一番中国の脅威にさらされているのは台湾です。それなのに台湾自体、上は総統から下は一般の政党の党員に至るまで「台湾は主権独立国家でございます。中華民国は主権独立国家でこざいます」と盛んに言うわけだ。 ところがまだ変わっていません。いま台湾の教科書は、来年は変わる可能性がありますが、いま台湾の国定教科書に掲載されている地図、中華民国の地図にはすでに国連に入っている蒙古も中華民国の地図に入っている。常任理事国である中華人民共和国も地図に入っている。中華民国がいつあれだけ大きくなったの?うそを言え。 と言うことで、「中華民国は主権独立国家である」というが、どこに存在しているのだ?ところがそれを皆、頬かむりしている。ただそういう呪文を唱えていればいい。「中華民国は主権独立国家である。我々は独立国である」と言いながら、実は自分で自分のほっペたを打っているのだ。自分の領土がどこにあるか分からない。領海の範囲はどこまであるか分からない。 しかも中国自体を称するときに「中国本土」という。あたかも昔、我々が日本の統治下に置かれたときに「日本内地」、内地とは皆さんのことです。我々台湾は外地。当時台湾は日本の一部です。「皆さんは内地にお帰りになるのですか、そうですか」と話し、「内台一体」内地と台湾は一体であると言っていた。同じことを今、台湾と中国でも・・・。ああいう関係、それでいかにして独立を守るか。守れないですよ。どうやって戦うのですか。外国にどうやって支持してほしいと言えるのですか。言えないです。だから私は、実は日本やアメリカとか、ああいうところをあまり責めたことがないです。要するに我々自身が一番悪いのだから。 実はこのアメリカも、悪いことをしていますよ、パターソンさん。アメリカは日本に、長崎と広島に原発を二個落とした。そして台湾に蒋介石と蒋経國を落としたのです。悪いことをしているのです。だから少し反省して(笑)。 そういうわけで、我々はとにかくただ泣き言を言ってもしょうがないのです。本当に我々がお互いに相手を理解しようと思って見れば、本当に眺めれば眺めるほどお互いかわいいです。だから日本、アメリカ、台湾、この三つの国が協力していけば本当にとてもいいアジアの平和が保てるように私は思うのです。 私の今日の雑談ですが、このパンフレットの中に書いてあります。ところがやはり第九ページに五ケ所もミスプリがあるのです。一つご紹介しますと、私は自由民主主義体制という言葉を書いているのだけれども、この原稿のなかでは台湾製の台製だ。自由民主主義レジーム。自由民主主義「体制」と書いていたものがここでは台湾製の「台製」、そういう字になっている。これはミスだけれど、案外いい造語かもしれない。台湾も民主主義、自由主義になったから台湾製というふうに見てもいいかもしれません。 ただ我々アメリカ、日本、台湾は本当に民主主義を共有している。自由主義を本当に共有しているのです。こういう共同価値観を持っている台湾をもしアメリカや日本が見捨てたら、それこそアメリカ、あるいは日本の自由民主主義体制も崩れます。こんなにいい仲間を見捨てたら崩れます。 そういうようなわけで、私は今日のこのシンポジウムが少しなりともお互いの理解を深めることに役立つことができれば非常に幸せだと思います。 眠いところ、ご静聴、ありがとうございました。(拍手) |
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