| TMDと台湾・日本の生存権 |
| 黄文雄 |
台湾人の生存権を保証するには 今年の六月、クリントン米大統領訪中を前にして、米上下両院は絶対多数で「中国の対台湾武力行使の放棄要求」を可決した。しかしクリントン大統領は、中国にことわられ、逆に「三つのノー」を公言した。 中国が台湾に対して武力行使を放棄しないかぎり、アジアの未来に平和がないことは常識だ。では、中国が対台湾武力行使を放棄しない以上、いったい何が台湾人の生存権を保証するのか。 クリントン大統領は、「三つのノー」を公言した後、台湾に対して「三つのノー」はアメリカの中国に対する伝統的政策で台湾に対する政策は変わらず、さらに防衛用兵器の提供を続行すると公式に伝えた。米下院は、大統領の独走を牽制する意味なのか、「三つのノー」公言直後、台湾のWTOをはじめとする国際組織加盟の支持を可決した。 「二〇〇〇年まで台湾をすべての国家的国際組織から排除する」という中国の政治外交的攻勢の下で、台湾人の国際的生存空間を確保するためには、現在の政治的民主主義体制、アジアの経済危機の回避と防衛協力だけでは不足である。 台湾防衛を約束するアメリカの「台湾関係法」が継続するかぎり、台湾人の生存権は保証されるとか、中国の台湾に対する武力行使に対する国際世論の制裁だけでは、頼りにならない。 核武装を含む台湾の自衛能力の確立と集団安保体制への参加が何よりも必要である。台湾は、積極的に日米新ガイドラインを支持し、TMD(戦域ミサイル防衛)構想の研究推進を支持、参加することこそ、生存権確保になくてはならない道である。 米上下両院の台湾TMD参加承認が意味するもの 今年の九月二十四日、米下院は三七三対五〇票で、両院協商の「国防予算法案」報告を通過させた。さらに国防省に九九年一月一日を期限として、日本、韓国、台湾等東アジア同盟関係国にTMD研究構想報告を提出することを要求した。その後、上院も同法案を可決した。九月二十六日の『自由時報』によれば、米国防省はその後すぐに、台湾がTMD防衛範囲に入ることは、「台湾関係法」の適用を受けるものであると表明した。 たしかにTMD構想は、抑止効果が大きいが、運用面でなおも問題点が多く、全体的構想や不明なところが多い。 そのために台湾の唐飛参謀総長が十一月上旬に訪米、米政府のTMD構想をさぐるとともに、米政府関係省庁に構想文書の提供を求めた。 日本政府は十月二十三日の安全保障会議(議長=小渕恵三首相)で、TMD構想の日米共同技術研究を推進することを確認したことを受けて、研究費約十憶円を平成十一年度予算に盛り込むことを決めた。 中国政府は日本に対して日米新ガイドラインからの「台湾はずし」を要求し、日本のTMD構想参加にも反対した。その反対理由は「東アジアに新たな軍拡競争をもたらすから」というものだ。「軍拡競争をもたらす」とは、まったく理由にならないこじつけだ。 冷戦終結後、中国は欧米各国の軍縮に逆行して核実験を続行、ミサイル開発、軍事費の年二ケタ増を行い、「中国の脅威」がアジア各国の軍拡をもたらしたのは厳然たる事実だ。 日本は核兵器も攻撃的な兵器も持っていない。中国が文革以来ずっとくりかえして主張してきた「日本軍国主義の復活」云々は、中国人以外には誰も信じない。日本にとってTMD構想は生存権を守るためになくてはならない最低不可欠な手段だ。 核武装ができない以上、日米の同盟強化が次善の策 インドの核開発強行は、「中国の核脅威」が存在しているからだ。パキスタンの核もインド牽制のための中国のテコ入れというのがすでに常識となっている。アジアで唯一核を持つ中国は、インドの核実験に抗議できる立場ではない。 台湾は早くから核保有可能国家としてみなされてきた。蒋経国時代に核開発を行った事実もある。しかし核開発関係者がアメリカに亡命し、その秘密が暴かれてから、核関連施設は完全にアメリカの監督下におかれている。 中国は台湾に、「核使用を除外する」と言ったり、「先制不使用」と言ったりして、ゆさぶりをかけつづけてきた。最近、李登輝総統も参謀総長も、核兵器の開発をしないと表明している。 しかし私の理解では、台湾人には日本人とちがって核アレルギーはない。核開発をしないという声は、決して台湾人の多数意見ではない。 李鵬元首相はかつてオーストラリアの首相に、日本は後二〇年で消えていくから口にするほどの国ではないと話した。ソ連崩壊後、中国の核兵器は新疆から瀋陽軍区に移され、日本列島は完全にその射程内に入っている。中国の軍事専門家が日本は二〇発で完全に地上から消滅すると「分析」したこともある。 TMD構想にどれほどの現実性があるのか確かではないが、「平和憲法」を掲げるだけでは国を守れないことは誰でも知っている。国家としての長期目標もなければ、国家としての尊厳も放棄した日本は、憲法改正と核武装ができない以上、生存権を守る次善の策として日米同盟強化の他に第三の道はない。 日台関係は一蓮托生と言わなくても、台湾の生死存亡がいかに日本とかかわりの深いものであるか、真に知っている人は、はたして何人いるだろうか。 |
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