| 李登輝・前台湾総統訪日問題と親中国派の陰謀 小泉首相は李氏にマルチビザ発給の決断を! |
| 宗像 隆幸/アジア安保フォーラム幹事 2002年11月20日 本稿の中文訳は台湾の『壹號人物』12月号に掲載 |
11月23日に予定されていた李登輝・前台湾総統の訪日は、「問題なし」と見られていたのに、11月13日なって急に外務省が、李氏のビザ申請を受け付けないと通告、今回の李氏の訪日は中止になった。親中国派の政治家と外務官僚が組んで、またもや陰湿な妨害工作を行った結果である。 昨年4月の李登輝氏の訪日は実現したが、あのときは当時の森喜朗首相が河野洋平外相に、「これは私の命令だ」とまで言ってビザを出すよう指示したにもかかわらず、親中国派の橋本龍太郎元首相や野中広務元自民党幹事長ら実力者の後押しを受けて、河野外相と外務官僚は最後まで抵抗した。昨年4月18日の記者会見で首相退陣を表明した森首相が、李氏にビザを出すよう外務省に命じたことを明らかにしたため、外務省はやむなく単次ビザを発給したのだった。その直後に米国は、李氏に5年間有効のマルチビザを出したのだから、日本はかろうじて大恥をかくことを免れたのだ。 こんな苦い経験があるのだから、今回は政府が法律に従って事務的に処理し、親中国派もあんなみっともない妨害工作はもうやるまい、と考えるのが常識であろう。 李登輝氏は2年半も前に総統を退任して一市民になっているのだから、日本が一般の台湾人と同じように、5年間有効のマルチビザを発給すれば、こんな騒ぎは二度と起きないのである。実際、政府もそのつもりだったはずだ。内田勝久・交流協会台北事務所長(実質的な駐台湾日本大使)は、今回の問題が起こる直前まで、「李登輝さんの訪日は問題ない。すぐにビザを発行する」と繰り返し語っていたという。外務省の内示があったからこそ、そう言えたはずである。 ところが11月11日になって、内田事務所長はビザの申請書を出した李氏の代理人に対し、訪日目的を「観光」から「講演」に変更するよう要求したので、代理人はそれに従った。マルチビザは5年間、どんな目的であれ、何度も訪日できるのだから、「目的」は書きようがないはずだ。しかし、申請書に訪日目的を書く欄があるから、「観光」とでも書かざるをえないのである。ところが、訪日目的を書き変えさせたところに、陰謀が隠されていた。この「講演」というのは、慶応大学の三田祭で学生サークル「経済新人会」が行う予定だった講演会のことである。三田祭実行委員会がこの講演会を拒否したことを理由に、外務省はビザの発給拒否を通告したのだった。 この陰謀に加担した、と思われる発言をしている人物がいる。外務省の矢野哲朗副大臣(栃木県選出参議院議員、自民党江藤・亀井派、慶応大学卒)である。矢野は11月14日の記者会見で、「(講演中止の)決定が先週すでに決まっていたのにビザ発給を申請したのは非常に不自然だ」と語り、さらに「経済新人会」のメンバーに「李氏の訪日には、もともとうさん臭さがある」「昨年の李氏の病気治療による来日もうさん臭い」などと言っている(11月16日『産経新聞』)。李氏の代理人は、「経済新人会」からの講演依頼状が届いていたから、李氏の講演会が三田祭で行われるものと思い込んで、訪日目的の変更に応じたのだ。 江藤・亀井派の江藤隆美会長は11月14日、「(李氏は)一台湾人だ。中国に気兼ねして日本の外交を考えなければいけないのか。川口外相は即刻クビにすべきだ」と語っている(11月15日『産経新聞』)。外務省が行ったことだから当然、川口順子外相の責任が問われるべきであるが、まず江藤会長にはこんな汚い陰謀に加担した矢野哲朗を自分の派閥から追放して欲しいものだ。 すでに矢野の選挙区では、次の選挙で矢野を落選させる運動が起きている。北朝鮮に対する外交も、以前は親北朝鮮派の政治家と外務官僚が取り仕切っていたが、9月の日朝首脳会談以来、国民は彼らの独断専行を許さなくなっている。李氏の訪日問題は、もはや外務省に任せておくべきではない。小泉首相は昨年の森首相に倣って、きっぱり「李登輝さんにマルチビザを発給せよ」と、外相に命じて欲しい。 |
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