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『台湾青年』の使命と新生国家理論
許世楷/元台湾独立建国聯盟主席・静宜大学教授・法学博士  2002年7月18日

原載 台湾青年 第500号 停刊記念号 2002年6月5日発行


一九五二年四月二十八日「中華民国と日本国との間の平和条約」が署名され、八月五日に批准書が交換されて発効した。同条約は中華民国と日本国間の戦争状態を終結し、両国関係を再開するために締結されたものである。しかし、その交渉過程は容易でなく、交渉に六十七日も費やされている。それは当時、中華民国がすでに台湾に亡命し、したがって条約の適用される範囲が議論の的になったからである。さらにもう一つの議論があったが、それは中華民国が日本に対して、台湾を中華民国に返還したと表明することを求めたことである。しかし、日本はサンフランシスコ平和条約に記載されているように、台湾を放棄するとだけ記し、どこに対して放棄するかについては述べないことを堅持した。

このことは、台湾の国際的地位が未定であることを顕示した。批准の過程において日本政府委員は国会で、「日本は平和条約によりまして、台湾、澎湖島に対するすべての権利、権限を放棄しており、この台湾なり澎湖島がどこに帰属するかということは、連合国の間で決定することになっておることは、たびたび申し上げておる通りでございます。ただ今回の日華条約を結んだことについての考え方の基礎は、台湾および澎湖島に対しましては、中華民国国民政府がこれを現実に支配しておる事実すでに実効的に支配しておるという現実に基きまして、いろいろの交渉が行われておるこういうことで日華条約が締結されるに至りました次第でございまして、領土の最終的帰属はまだ決定を見ておりませんが、現実の事態をもとといたしまして、今回の条約が締結されることになっておるのであります」と答弁している。

なお日本が台湾を放棄しても、その行く先を表明しない点については、一九七八年に日中平和友好条約が締結された時も、日本は同様に堅持した。

台湾の前途については「二つの中国論」があり、それは第二次大戦後間もなく中華民国は、「台湾にある中華民国」と「中国大陸にある中華人民共和国」の二つの独立国家に分裂したというのである。これは台湾・中国関係を「一つの中国」の国内問題と見る従来の見方から、両者の関係を国際問題として捉えなおしたものであり、この点は台湾に有利な見方である。しかしこの「分裂国家理論」は、東西ドイツのように、第一歩に相互承認し、同時に国連に加盟する、ということによって両者が国際社会にともに国家として受け入れられるか、それとも南北ベトナムのように、相手を国家として認めずに征服するまで対立は止まないということになる。この様式にしたがうとすれば、第一歩から中国の意向に百パーセントかかっていることになるが、われわれ皆が知っているように、中国が台湾を一国として承認する可能性は皆無である。しかもこの理論をとれば、分裂前の台湾は中国の一部であったことを認めることになり、中国が台湾を併合する口実を裏書きすることにもなって、台湾に不利である。

われわれは、サンフランシスコ平和条約、華日平和条約などによって、第二次大戦後の台湾は国際的帰属未定地域となり、中国を含むいかなる国家にも帰属せず、台湾の国民党政権はたんに連合国軍の命令によって一九四五年に占領を実行しただけである、と考える。しかもその占領政権は、四九年に祖国を失った亡命政権になり、台湾は中国と隔絶した「独立の政治的実体(independent political entity)」を形成した。その後この独立した政治的実体は漸次成長し、新しく誕生した「事実上(de facto)の独立国家」となる。この様な解釈をわたくしは、「分裂国家理論」と対照させて「新生国家理論」と名付けた。四九年以来、台湾の国民、領土は一定し、この国民、領土の上には事実上独立して実効的に支配している政府が存在し、「独立の政治的実体」を形成してきた。それはさらに九〇年代の民主化により、すべての民意代表が改選、総統も国民の直接選挙にゆだねられ、国民主権の実も逐次実現され、台湾は一つの「事実上の独立国家」となった。

わたくしはさらに、第一に「中華民国」の放棄、第二に国際社会に向けて明確に独立建国の意志を表明する、という二つの手続きをとることによって、台湾は初めて「法理上(de jure )の独立国家」になることができると考える。なぜなら一九七一年の国連総会二七五八号決議は、蒋介石の国民党政権が中国を代表することを否認し、中華人民共和国が中国の唯一の合法的代表であると認めた。したがって「中華民国」は滅亡し、それを受け継いだのは中華人民共和国であることになる。台湾がすでに存在しない「中華民国(Republic of China )」であると主張するのは、国際社会に認められないだけでなく、China ということから中華人民共和国との混乱を引き起こすだけである。「中華民国」を放棄しなければ、中国との紛糾から免れないのである。

以上の二つの手続は、「台湾の名義でもって国連新規加入を申請する」という一つの動作で完成できる。

「新生国家理論」をとることによって、台湾が国際社会に第一歩を踏み出すとき、中国の意向の占める分量は「分裂国家理論」のときの百分の百から、百九十二(世界の国数)分の一に急降下する。しかも中国の台湾併合の口実を真っ向から否定している。

わたくし達が国際問題を見るとき、二つの基準があると思う。第一は、合理的解釈である。道理ある見解であって始めて多数の同意を得ることができる。第二は、台湾人であるわたくしは、多くの合理的解釈があるときは、その中の台湾人にとってもっとも有利と思われる解釈をとる。この二つの基準で計るとき、自ずと「新生国家理論」の提唱が台湾人の利益にマッチし、わたくし達の前途開拓にもっともふさわしいものであることが分かる。

四十二年来『台湾青年』誌に依拠した私達が追い求めてきたのは、何であったのか。『台湾青年』誌が幕を閉じようとしている現在、わたくし達の目標を今一度確認する必要があろう。

「台湾独立建国」は台湾が現在の事実上の独立国家から、法理上の独立国家の域に達することによって成就する。そのためには「台湾の名義でもって国連新規加入を申請する」動作を実行することが、肝要である。しかし、「台湾」の名義を使用することは、現在の台湾において「中国統一」つまり中国の台湾併合を考えている人たち、および中国の軍事恐喝を恐れて現状維持に甘んじようとしている人たちの反対を惹起する。そのため、台湾に対する強固なアイデンティティを広く育成する必要があり、そのもっとも効果的な方法は、一貫して中国人のアイデンティティを注入している中華民国教育体制を変革すべきで、それには現在の中華民国憲法を廃止して、新憲法制定を実現しなければならない。これらを今日の推進すべき運動として具体的に言い直すと、「新生国家理論」を基礎に、内においては「台湾新憲法制定」運動、外に対しては「台湾の名義でもって国連新規加入を申請する」運動が、わたくし達台湾独立建国聯盟の今日の急務であろう。


台湾独立建国聯盟ウェブサイト /WUFI Web-site
World United Formosans for Independence

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