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アジアの平和は台湾が主権独立国家になることが基本
ナイ米前国防次官補の誤った戦略観に反駁する
鄭欽仁/台湾大学教授

1998年5月17日『自由時報』より、林耀南訳


アメリカの前国防次官補、ジョセフ・ナイ氏(現在ハーバード大学ケネディ学院長)は三月八日のワシントンポスト紙に「台湾をめぐる取引」と題する氏の主張を発表したが、筆者は氏の主張を紹介する一方、氏の誤った主張に次の通り反駁する。

ナイ氏はまず米国政府に「一つの中国政策」と「武力の不行使」をはっきり採用するよう要望し、従来のような「あいまい政策」をやめるよう主張している。

このような主張は同紙が数年来、再三にわたって掲載してきたが、ナイ氏はこれに満足せず、ホワイト・ハウスが台湾に圧力をかけて、中国の主張を受け入れさせるような、とんでもない主張をし、さらに「もし台湾が独立を宣言したら、米国はそれを承認しないのみか、台湾を防衛しないし、他の国々にも台湾の独立を承認させない……」と中国寄りの誤った主張をした。

ナイ氏がこのような主張をした原因は、台湾の民主々義が次第に発達していることへの不安感によるものであろう。

民主政治の発展と市民社会の形成が、独立自主の方向へ走るのは、台湾だけの傾向ではなく、西側諸国が自由民主々義の近代国家へ走った普遍的な原理でもある。

したがって現実主義的なナイ氏から見れば、これは恐るべき事態であり、抑制すべきである、と思ったのであろう。

アメリカは第二次大戦後の台湾問題処理の誤りを忘れるな!!

アメリカは第二次大戦後、アメリカが主導権を握って、他の戦勝国(連合国)と共に台湾問題の処理を誤ったことを忘れてはならない。戦後、多くの植民地が解放され、独立したのに、台湾の帰属問題をおろそかにしたが故に、今日のような中国政府の台湾に対する口実を与えてしまったのである。

一九七一年、北京政権が国際的に中国を代表する政権となってから七年後の七八年に、初めて彼らの憲法に台湾を彼らの領土の一部分と明記した。

一方、台湾の国民党政権は台湾において“台湾の本土化”と民主化を展開した後、「中国」から離脱し、独立を宣言するのが当然である。

米国が台湾の独立を支持せず、しかも他の国々にも承認しないように働きかけることは、米国がアジアにおいて覇権国家を支持し、共に勢力範囲を区分するようなやり方にほかならない。

しかし、現実的には歴史の発展はこの段階にまで進展していない。ナイ氏は再三、台北(台湾)に対して、いかなる独立に走る挙動をも明確に放棄するよう要求し、さらに明確に台湾は中国の一部分であることを表明し、究極的に北京の“一国二制度”などの条件を承諾せよと言うのである。

ナイ氏のこのような論理は、台湾に政府が無く、あるいは無政府状態にあり、台湾人がすでに自分の国土を放棄し、人民と国家のアピールをしない、などの仮説の上に立っている。

もし、今の台湾の民主政治下、いかなる政権といえども、ナイ氏のいうような宣言をすれば、必ず崩壊する。

また、ナイ氏の論説のような政策を米国が採用したら、台湾で動乱をつくり出し、台湾人は「自我亡国の条件」の下で、中国と次のようないくつかの状態に置かれてしまう。

一、台湾と中国の“両岸の対話”を促進する。

二、中国への投資拡大と人的交流を促進する。しかし、これによって中国への依存度がかなり高くなる。このことは台湾人の望むところではない。李登輝の「急がず忍耐強く」の政策が台湾社会で受け入れられている。台湾と中国が互いに国と国の関係を承認するというのでなければ、これは容易に改められない。

三、国際社会での生存空間を拡大する。例えばAPECとかオリンピックなどへの参加。

しかし、ナイ氏の陰謀は台湾に香港とマカオのような地位を受け入れさせることであり、したがって彼の主張は、台湾側がはっきり台湾は中国の一部であることを表明した後、国際社会における発言の機会を与えるとの論調であり、これは中国の一貫した台湾人への屈辱的な政策にほかならない。

四、中国の“一国二制度”を台湾で“一国三制度”に拡大すれば、とナイ氏はイとも無責任に唱えているが、実際はケ小平の“一国両制”にほかならないのに、ナイ氏は「こうすれば台湾は真に自らの政策、経済、社会体制を維持できる」と言うのである。

しかし、台湾人はすでに香港人が政治、経済、自由平等などで被害を受けていることを知っており、さらに中国共産党の一党独裁の下での“一国両制”では、従来のような自由と民主主義を享受できないことを悟っている。

なにしろ、台湾人は半世紀にわたる奮闘努力により、国民党の一党独裁から脱却したのに、今また中国の一国両制を受け入れたら、それこそ泥沼の深淵に陥し入れられることになり、チベットやウイグルの二の舞いになることを百も承知している。

アジアにおける政治的混乱は、決して米国の国家利益にとって好ましくないはずである。また台湾が一九九六年に民主々義のルールで総統を選出し、独立国家としての意気込みを示したのは、明らかに中国と一線を画していることへの意思表示でもある。

ナイ氏は中国の一党独裁を容認し、さらに中国が十九世紀的な帝国主義国家となり、アジアを支配するのを手助けしている。

五、ナイ氏は人民自決の大原則を全く軽視し、「人民自決なるものは明確な法律上の原則ではなく、一種の道徳主義に過ぎない」と言い、国連憲章に明記してあることを完全に無視しているのである。もし、米国政府がナイ氏の主張通りの政策を採用したならば、それは「強権政治下での米国の価値観の崩壊」となり、さらに一七七六年以来続いた米国の価値体系を否定することになる。

現在の台湾は、民主々義が初歩的に成就しているが、その体質はまだ脆弱なので、さらに努力する必要がある。その一方で絶えず中国の覇権主義の脅威にさらされている。もし、ここで米国の豹変があれば、大変なことになる。

米国の豹変はこの半世紀に何回もあった。

二年前の米国の空母二隻による防衛に対する台湾人の感謝の気持が冷めない現時点において、米国の対中国政策の急変がありそうなので、台湾人は憂慮している。

クリントン大統領は、自分の権力維持と内外の情勢に鑑み、米中間に横たわる人権、貿易、武器の売却、そして台湾問題などなどの山積する諸問題の解決のため、当初の予定を繰り上げてに六月の訪中を決定した。

一方、江沢民は常に「愛国主義」を声高らかに提唱せざるをえず、台湾併呑を至上目標として国内の反対勢力に対処している。今年三月、江沢民のリードする「江朱体制」の強化が台湾に対する脅威を増大させ、さらに米国の親中勢力を利用して台湾を包囲し始めた。

中国の台湾併呑の唯一の口実は、「台湾が独立に向かって走っている……」である。

台湾人は自らの生存のために、「国際社会における生存空間」を要求したり、さらに経済、文化交流をしたいだけなのに、中国側はこれを“外国勢力の干渉”と歪曲するのである。

米国は八十年代に初めて中国への軍事援助を始め、ケ小平政権以降は米国からハイテク国防兵器を獲得する戦略を採用し出した。中国のミサイルや宇宙衛星、さらに航空母艦建造などは、このために飛躍的な進歩を遂げ、未来のアジア情勢はもはや米国主導ではなくなってしまった。もし、米国が台湾を犠牲にしたら、それこそアジアの平和は保てない。

台湾と中国の敵対関係を収束させるためには、米国に頼るしかなく、さらに一歩進んで台湾が完全に中国と絶縁して、主権国家として国際社会から尊重され、アジア太平洋地域の安全保障に参加してこそ、アジアの真の平和が訪れるのである。


台湾独立建国聯盟ウェブサイト /WUFI Web-site
World United Formosans for Independence

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